はじめに
「薬局に転職して、本当によかったと思っていますか?」
病院薬剤師から薬局への転職を考えている方が、一番気になることのひとつではないでしょうか。転職のメリットはいろんなサイトに書いてありますが、「実際のところどうなの?」というリアルな声はなかなか見つかりません。
この記事では、病院薬剤師として10年以上勤務したのちに薬局へ転職した私が、転職してよかった点・そうでもなかった点を正直にお伝えします。
きれいごとなしに書きますので、転職を迷っている方の参考になれば嬉しいです😊
結論:よかったです。ただし、正直に言います。
先に結論をお伝えすると、転職してよかったと思っています。
ただ、「すべてが想像通りだった」かというとそうではありません。よかったことも、想定外だったこともあります。それを包み隠さずお伝えするのがこの記事の目的です。
転職してよかったこと
① 夜勤・当直がなくなった
病院時代は、通常勤務が終わった後にそのまま当直に入り、翌日帰宅するというスタイルでした。実質24時間の出勤です。
薬局に転職してから、毎晩ぐっすり眠れるようになりました。当たり前のことのようですが、これが体の回復にどれだけ影響するか、やめて初めて実感しました。「今夜は当直か…」という気持ちで迎える朝がなくなっただけで、毎日の気持ちの軽さが違います。
② 休みが保障されている安心感
病院時代は土日祝日・夏季休暇・年末年始と休日の日数自体は充実していましたが、月1回程度の休日出勤があり、長期連休も交代で出勤しなければならず、友人や家族と休みが合わないことも多くありました。代休のない出勤もありました。
薬局は年間休日120日で、病院時代と比べると休日の数は少ない印象を受けました。有給も入社半年後から10日付与される形です。ただ、病院時代の月1回の休日出勤・月20〜30時間程度の残業を考えると、実質的な休みの量はほぼ同程度とも言えます。
それ以上に感じたのは「休みが保障されているという安心感」です。日曜・祝日は確実に休めるため、旅行などプライベートの計画が立てやすくなりました。長期連休を丸ごと使えるようになったことで、休暇がより充実したものになりました。
③ 朝の時間に余裕が生まれた
私の薬局の開局は8:30で、私自身の出勤は8:55です。病院時代より通勤開始が遅くなったこともあり、朝の時間に余裕ができました。家のことをひとつ済ませてから出勤できる感覚は、時短勤務をしているような感覚に近いです。
④ 定時退勤が当たり前になった
病院時代は、棚卸業務や委員会の資料作成など業務が多岐にわたり、残業が日常的にありました。薬局に転職してからは、地域の勉強会などで年数回残る程度で、それ以外はほぼ定時退勤です。
実は薬局の閉局時間は病院の定時より遅いのですが、残業がないぶん、帰宅時間は病院時代とほぼ同じかむしろ早くなりました。夕食を家で食べる・家事を済ませて寝る、そんな当たり前のことが当たり前にできるようになりました。
⑤ 仕事の場の「余裕」が違う
待合室で流れるテレビの音、同僚とのたわいない会話——病院時代にはなかった日常の風景です。
昼休憩も交代制でしっかり取れるため、途中で呼び出されることはありません。病院では1つのミスが患者さんの健康被害に直結するプレッシャーが常にありましたが、薬局の業務はそれとは違う種類の仕事だと感じています。忙しくないとは言いませんが、命に関わる緊張感の高い場面が少ない分、精神的なゆとりが生まれました。
⑥ 年収が上がった
転職活動の際、最低でも年収を大きく上げることを条件にしていました。担当エージェントから「その条件は正直難しい」と言われながらも粘り強く交渉を続け、最終的に目標に近い形で実現できました。
給与・年収の詳細については別記事で解説しています。
[▶ 薬局薬剤師の年収はぶっちゃけいくら?病院と比べてみた]
正直、そうでもなかったこと
① 体力が落ちた
病院時代は注射薬の搬送や病棟間の移動など、体を動かす機会が自然にありました。薬局に転職してからは投薬窓口での業務がほぼデスクワークになり、転職してから体力が落ちました。意識して運動しないと、じわじわ影響が出てきます。
② 専門性を深める機会が減った
病院薬剤師として積み上げてきた専門知識や、学会・勉強会などを通じたキャリアの深め方が、薬局では変わります。薬局薬剤師としての専門性(服薬指導・在宅対応など)は別の軸で育てていけますが、病院時代とは違うキャリアの形になることは覚悟しておいた方がいいと思います。
③ 初年度は実質、減給だった
年収アップを条件に転職したにもかかわらず、1年目は結果的に減給になってしまいました。理由は3つあります。
1つ目は給与の支払いタイミングの違いです。以前の病院は当月の勤務分を当月に支給していましたが、転職先の薬局は翌月払いでした。そのため、現金ベースで見ると初年度は実質1ヶ月分の給与が少ない状態になりました。
2つ目は初回ボーナスが少なかったこと。在籍期間が短いため、最初のボーナスは満額ではありませんでした。
3つ目は入社後半年間は有給が付かないことです。この期間にコロナ感染で出勤停止になった際、有給を使えず欠勤扱いとなり、給与が減額になってしまいました。
これらが重なり、初年度は交渉で上げたはずの年収が、実態としてはマイナスになってしまいました。2年目からは想定通りの年収に近づいている実感はありますが、転職初年度に起こりうる落とし穴として、知っておいてほしいポイントです。
④ ベースアップがない
多くの病院では、現在ベースアップが行われているのではないでしょうか。一方、私の薬局では、定期昇給以外のベースアップは今のところ実施されていないようです。
待っていても給与が上がる環境ではない分、自分から積極的に取り組んでいかないといけないと感じています。
⑤ M&Aや事業売却への不安
民間企業あるあるではありますが、薬局も買収・売却の対象になることがあります。会社がつぶれることはないと思っていますが、事業分割や店舗売却の対象になった場合、経営者が変わり働き方が変わるのではないか——と、不安に感じることがあります。実際に、身近なところで一部店舗が売却されるという事象も起きています。
ただ、個人として不安に思い続けてもどうにもならないので、今は目の前の仕事に取り組むのみです。
⑥ 有給休暇の日数・取り方が変わった
以前の職場では有給が年間20日あり、1時間単位での取得も可能でした。現在の薬局では半年で10日付与、取得単位は半日からです。日数が半分になった上に細かく取れないため、ちょっとした用事でも半日単位で消化することになり、気づくとすぐなくなってしまいます。
また、特別休暇が少ない点も気になっています。人間ドックや健康診断の際に特別休暇がなく、有給扱いとなります。インフルエンザに伴う出勤停止も同様で、特別休暇ではなく有給(または欠勤)扱いになります。病院時代は健診に別途休暇が用意されていたので、この差は地味に大きいと感じています。また、病気で休んだ場合も病休という特別休暇はなく、欠勤扱いとなります。雇用保険の傷病手当金の支給はありますが、病院時代とは仕組みが異なる点も知っておく必要があります。
⑦ 退職金・年金制度が手薄
病院では一般的な退職金制度がありましたが、薬局は大手を除くと中小規模のところが多く、退職金・企業年金の制度が脆弱なところが多い印象です。
私が勤めている薬局にも年金の給付制度はありますが、入社5年未満は支給対象外で、金額もそれほど大きくはないようです。病院時代と同じ感覚でいると、将来の備えが不十分になる可能性があります。
転職を機に、自分自身でiDeCoやNISAなどを活用した資産形成を意識的に行う必要があると感じています。
まとめ|それでも転職してよかった理由
よかった点・そうでもなかった点を正直に書きましたが、総合的には転職してよかったと思っています。
特に「体の回復」「休みの安心感」「朝の余裕」は、数字では表しにくいですが、毎日の生活の質に直結するものです。転職前に想像していた以上に、日常の満足度が上がりました。
体力が落ちたこと・専門性の変化・初年度の収入面での想定外は正直ありました。転職はゴールではなく、新しいステージのスタートだと思っています。
転職を考えている薬剤師さんの参考に、少しでもなれば嬉しいです😊
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