はじめに
「パスタロン、また入ってこない……」
乾燥が気になる季節に向けて、処方が増えてくる尿素の外用剤。
ところが2026年9月現在、パスタロン(佐藤製薬)や後発品の尿素クリームが次々と限定出荷になっています。
尿素の外用剤は、成分は同じでも、濃度(10%・20%)と剤形(軟膏・ソフト軟膏・クリーム・ローション)の組み合わせで製品がいくつもあります。
「在庫があるほうに変えれば……」と思っても、薬局の判断だけで変えられるとは限らないのが難しいところです。
皮膚科や内科の処方が来たときに慌てないよう、
- 今どの製品が手に入りにくいのか
- 変更するときに、薬局で確認したいこと
- 処方医に相談するときのポイント
をまとめました。
今の供給状況(2026年9月25日時点)
尿素の外用剤では、複数の製品が限定出荷や供給停止になっています。厚労省の供給状況データでは、次のようになっていました。
| 濃度 | 剤形 | 製品 | 区分 | 出荷の状況 |
|---|---|---|---|---|
| 10% | ソフト軟膏 | パスタロンソフト軟膏10% | 先発品 | 限定出荷 |
| 10% | ローション | パスタロンローション10% | 先発品 | 限定出荷(他社品の影響・需要増) |
| 10% | ローション | ウレパールローション10% | 先発品 | 通常出荷 |
| 10% | クリーム | ウレパールクリーム10% | 長期収載品 | 通常出荷 |
| 10% | クリーム | 尿素クリーム10%「SUN」 | 後発品 | 限定出荷 |
| 10% | クリーム | 尿素クリーム10%「日医工」 | 後発品 | 限定出荷 |
| 20% | ソフト軟膏 | パスタロンソフト軟膏20% | 先発品 | 限定出荷 |
| 20% | クリーム | パスタロンクリーム20% | 長期収載品 | 供給停止(2027年3月に薬価削除予定) |
| 20% | クリーム | ケラチナミンコーワクリーム20% | 長期収載品 | 通常出荷 |
| 20% | クリーム | 尿素クリーム20%「SUN」 | 後発品 | 限定出荷 |
ざっくりまとめると、
- パスタロンは、ソフト軟膏・ローションが限定出荷、クリーム20%は供給停止
- 後発品の尿素クリーム(10%・20%)も限定出荷
- 通常出荷なのは、ウレパール(クリーム10%・ローション10%)とケラチナミンコーワクリーム20%
という状況です。
残っている製品に需要が集まっていると考えられます。
パスタロンクリーム20%は「再開を待つ」薬ではない
パスタロンクリーム20%は供給停止中で、2027年3月の薬価削除予定とされています。
一時的な供給停止ではないので、短期間の供給回復を待つのではなく、継続して使っている患者さんについては、代わりの製剤や治療を処方医と相談することが前提になります。
変更するときに、薬局で確認したいこと
「ウレパールなら入るから、ウレパールで……」と考えたくなりますが、ここで立ち止まりたいポイントがあります。
1. 剤形が変わるなら、疑義照会が必要
軟膏・ソフト軟膏・クリーム・ローションは、尿素の濃度が同じでも別の剤形です。
基剤、使用感、皮膚への広がり方、刺激の出やすさ、塗るのに向いている部位がそれぞれ違います。
そのため、軟膏・ソフト軟膏・クリーム・ローションの間の変更は、同じ濃度であっても剤形の変更にあたり、原則として処方医への疑義照会が必要です。
たとえば「パスタロンソフト軟膏10%」から「尿素クリーム10%」への変更は、薬局の判断だけではできません。
2. 先発品・長期収載品どうしの変更も、疑義照会が必要
先発品または長期収載品から、別の先発品・長期収載品へ変更する場合は、同じ成分・同じ濃度・同じ剤形であっても、薬局の判断で行う変更調剤の対象ではありません。原則として処方医への疑義照会が必要です。
たとえば「パスタロン(先発品)」から「ウレパール」への変更がこれにあたります。
3. 後発品への変更でも、確認することがある
先発品から後発品への変更調剤であっても、
- 処方箋の変更不可の指定がないか
- 患者さんの希望
- 同じ成分・同じ濃度・同じ剤形であるか
などを確認します。
剤形や濃度が変わる場合は、後発品への変更として扱える範囲を超えるので、疑義照会が必要です。
4. 濃度(10%と20%)の変更は、必ず処方医に確認
尿素10%と20%は、単なる「薄い・濃い」の違いではありません。
20%は角化や肥厚の強い部位で選ばれることがあり、10%は乾燥・保湿を目的に選ばれることがあります。
供給不足を理由に濃度を変える場合は、処方の意図と病変をふまえた処方医の判断が必ず必要です。
💡 変更調剤のルールの細かい点は、最新の通知や疑義解釈で確認してください。
また、長期収載品の選定療養に該当するか、後発品の供給不足によって患者さんの負担の扱いが変わるかは、処方内容や薬局で後発品を提供できるかどうか、最新の診療報酬・疑義解釈にもとづいて、個別に確認しましょう。
処方医に相談するときのポイント
疑義照会のときは、「在庫がありません」だけでなく、今手に入る選択肢を具体的に伝えると、処方医も判断しやすくなります。
伝えたい情報
- 処方された製品が限定出荷(または供給停止)で入手できないこと(入荷の見込みがあればそれも)
- 同じ濃度で手に入る製品と、その剤形(例:「10%ならウレパールのクリームかローションが入手可能です」)
- これまでの使用感(ベタつきが苦手、など)で気になる点
確認したい情報
- 使う部位(顔、体幹、手指、足底・かかと、毛のある部位、広い範囲か局所か)
- 使う目的(保湿が中心か、角質をやわらかくすることを期待しているか)
- 20%の場合は、角化・亀裂の程度や、魚鱗癬・掌蹠の病変など
- 亀裂・びらん・強い炎症がないか(尿素は刺激感が出やすい)
- 処方日数、1回の使用量
- 小児・高齢者、皮膚の薄い部位への使用か
- 糖尿病・末梢循環障害・足の病変があるか
- 併用している外用薬
- これまでに刺激感やかぶれがなかったか
尿素以外の保湿剤(ヘパリン類似物質など)への変更も選択肢になりえますが、目的や部位によって向き・不向きが変わるので、処方医の判断になります。
患者さんへの説明のポイント
薬が変わったときは、次のような点を伝えておくと安心です。
- 同じ尿素の製剤に変わった場合は、成分は同じで、目的も同じであること
- 同じ濃度でも、剤形が変わると塗り心地や広がり方が変わることがある。新しい薬は、処方された部位・回数・量を確認して使う
- 目や粘膜には使わない
- 亀裂やただれ、強い炎症のある部位に塗って、しみる・赤くなる・かゆみが強くなるなどがあれば、無理に使い続けずに薬局か処方医に相談する
一般に、軟膏・ソフト軟膏は皮膚を保護する力が高く、クリームはのびやすく、ローションは広い範囲や毛のある部位に塗りやすい傾向があります。ただし、実際の使用感や刺激感は、濃度・基剤・皮膚の状態によって違います。
「供給の事情で、同じ成分の別の薬に変わりました」とひとこと添えるだけで、患者さんの受け止め方はずいぶん違うと思います🌿
まとめ
- 2026年9月時点で、パスタロン(ソフト軟膏・ローション)と後発品の尿素クリームが限定出荷。パスタロンクリーム20%は供給停止で、2027年3月に薬価削除予定
- 通常出荷は、ウレパール(クリーム・ローション10%)とケラチナミンコーワクリーム20%
- 剤形の変更(軟膏・ソフト軟膏・クリーム・ローションの間)、先発品・長期収載品どうしの変更、濃度の変更は、原則として処方医への疑義照会が必要
- 後発品への変更でも、変更不可の指定・患者さんの希望・同一成分/濃度/剤形を確認
- 疑義照会では、同じ濃度で手に入る製品と剤形を伝え、部位・目的・皮膚の状態などを確認する
- これから乾燥の季節。需要が増える前に、在庫と入荷の見込みを確認しておきたい
供給状況は日々変わります。実際に対応するときは、最新の情報と電子添文を必ず確認してください。
少しでも参考になれば嬉しいです😊
参考
- 厚生労働省「医療用医薬品の供給状況」(2026年9月25日公表分)
- 各製品の電子添文
※他の供給状況の記事
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