ネオメドロールEE軟膏が2027年まで限定出荷……耳鼻科・眼科の処方、代わりはどうする?

はじめに

「ネオメドロールEE軟膏、2027年中頃まで限定出荷……?」

耳鼻科や眼科で処方されるネオメドロールEE軟膏。
2026年4月から限定出荷になっていましたが、9月にメーカーから「限定出荷継続」の案内が出て、通常出荷の再開は2027年中頃の予定になりました。

しかも、限定出荷の間は新規採用は辞退とされていて、既存の採用施設への供給が優先されています。
つまり、これまで扱っていなかった薬局では、処方が来ても手に入れるのが難しい状況です。

耳鼻科や眼科の処方が来たときに慌てないよう、

  • 何が起きているのか
  • 代わりの候補と、その注意点
  • 疑義照会で何を確認すればいいか

をまとめました。


ネオメドロールEE軟膏ってどんな薬?

項目内容
成分(1g中)フラジオマイシン硫酸塩 3.5mg(力価)(抗菌薬)+メチルプレドニゾロン 1mg(ステロイド)
製造販売ファイザー
規格3gチューブ
後発品なし

抗菌薬とステロイドの配合剤で、眼科と耳鼻科の両方で使える軟膏です。

効能・効果

  • 外眼部・前眼部の細菌感染を伴う炎症性疾患
  • 外耳の湿疹・皮膚炎
  • 耳鼻咽喉科領域における術後処置

禁忌

  • 本剤の成分に対する過敏症の既往歴がある患者
  • 他のアミノ糖系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマイシンなど)またはバシトラシンに対する過敏症の既往歴がある患者
  • 鼓膜に穿孔のある患者への耳内使用

重大な副作用として、非可逆性の難聴、眼圧上昇・緑内障、角膜ヘルペス・角膜真菌症・緑膿菌感染症の誘発、角膜穿孔、後嚢白内障などが挙げられています。

眼に使う場合は、角膜上皮剥離や角膜潰瘍がある場合、真菌やウイルスなどによる眼の病気がある場合にも注意が必要とされています。長く・頻回に使うときは、眼圧の測定も大切です。


何が起きているのか

ファイザーの案内(2026年9月)によると、経緯は次のとおりです。

時期出来事
2026年4月原薬を製造する海外の委託製造所で製造が遅延し、限定出荷を開始。当初は「2026年9月頃に通常出荷再開」の予定
2026年9月在庫と今後の製造計画をふまえ、限定出荷を継続。通常出荷の再開は2027年中頃の予定に

「出荷量通常」と「通常出荷」は違う

9月の案内では、出荷量の区分が「出荷量減少」から「出荷量通常」に変わりました。
一見、「もう普通に手に入るの?」と思ってしまいますが、そうではありません。

  • 出荷量通常:メーカーが出荷している総量の区分
  • 限定出荷:出荷先や新規採用、供給の配分に制約がある状態

ネオメドロールEE軟膏は、出荷量の区分は「通常」になった一方で、限定出荷は継続しています。
すべての医療機関・薬局が通常どおり購入できる状態ではない、という点は押さえておきたいところです。

ファイザーからは、医療関係者へのお願いとして次のように案内されています。

  • 新規採用は辞退
  • 既存の採用施設は、必要な数量での購入を
  • 納入が難しい場合は、卸と相談のうえ、類薬での処方や代替治療を検討してほしい

代わりの候補と、その注意点

いちばん近い候補:眼・耳科用リンデロンA軟膏

ネオメドロールEE軟膏にもっとも近い候補のひとつが、眼・耳科用リンデロンA軟膏(シオノギファーマ)です。
厚労省の供給状況データ(2026年9月25日公表分)では、通常出荷でした。

項目ネオメドロールEE軟膏眼・耳科用リンデロンA軟膏
抗菌薬フラジオマイシン硫酸塩フラジオマイシン硫酸塩(同じ)
ステロイドメチルプレドニゾロンベタメタゾンリン酸エステルナトリウム
眼科の適応外眼部・前眼部の細菌感染を伴う炎症性疾患同様
耳鼻科の適応外耳の湿疹・皮膚炎、耳鼻咽喉科領域の術後処置外耳の湿疹・皮膚炎、進行性壊疽性鼻炎、耳鼻咽喉科領域の術後処置
禁忌過敏症、アミノ糖系抗生物質・バシトラシン過敏症、鼓膜穿孔への耳内使用同様
供給(9月25日時点)限定出荷通常出荷

抗菌薬は同じフラジオマイシンで、適応や禁忌もほぼ同じです。
違いは配合されているステロイドです。

ここで気をつけたいのは、ステロイドの強さを単純に比べて置き換えられるわけではない、という点です。
全身で使うときの力価の比較ではベタメタゾンのほうが強いとされますが、眼・耳に使う配合軟膏どうしの臨床的な効果や安全性を、それだけで比べることはできません。ステロイドの種類・濃度・製剤の設計が違うからです。

そのため、切り替えるかどうかは、使う部位、炎症の程度、使用期間、眼科・耳鼻科での治療の目的をふまえて、処方医が判断することになります。

そのほかの候補(いずれも処方医の判断が前提)

ほかにも候補はありますが、どれもネオメドロールEE軟膏の単純な置き換えではありません。

眼科で、ステロイドの併用が不要と判断される場合
抗菌眼軟膏(エコリシン眼軟膏、オフロキサシン眼軟膏など)や抗菌点眼薬への変更が検討されることがあります。
ただし、抗菌薬だけにするか、別のステロイド配合製剤を選ぶかは、感染の部位・炎症の程度・角膜の所見をふまえて眼科医が判断します。エコリシンは抗菌成分の組み合わせ、オフロキサシンはニューキノロン系と、成分もネオメドロールとは異なります。

外耳の周りの皮膚炎・湿疹で、病変が皮膚に限られている場合
皮膚用の抗菌薬・ステロイド配合外用剤(テラ・コートリル軟膏など)が検討されることがあります。
ただし、テラ・コートリル軟膏は眼・耳科用の製剤ではなく、外耳道の中や眼への使用を前提とした代替薬ではありません。使う部位、鼓膜の状態、感染の有無を確認したうえで、耳鼻科医の判断が必要です。

液剤(点眼・点鼻用リンデロンA液など)への変更
軟膏から液剤への変更は、単なる剤形の変更ではありません。病変の部位、術後処置の目的、投与経路(眼・耳・鼻のどこに使うか)を処方医が判断する必要があります。
薬局から相談する場合も、「液剤への変更は可能か」という確認にとどめ、具体的な薬剤や用法は処方医に委ねるのが安全です。

⚠ ネオメドロールEE軟膏は眼にも耳にも使えますが、代わりの製剤が同じようにどちらにも使えるとは限りません。皮膚用の軟膏は眼には使えません。
また、眼科用ステロイド製剤の供給も変動しています(たとえばプレドニン眼軟膏は、厚労省データ2026年9月25日公表分で限定出荷でした)。候補に挙げる前に、最新の供給状況と卸の在庫を確認しましょう。


疑義照会の前に確認したいこと

代替を相談する前に、まず「どこに使う処方か」を確認します。
眼科用か、外耳道や外耳の皮膚に使う耳鼻科用か、耳鼻咽喉科の術後の処置かによって、選べる製剤が変わるからです。

共通

  • 眼科の処方か、耳鼻科の処方か(術後処置なら、手術の内容と使う部位)
  • 今の症状は感染が主体か、炎症が主体か
  • すでに使っている点眼薬・点耳薬・外用薬
  • アミノ糖系抗生物質・バシトラシンへのアレルギー歴
  • 過去にネオメドロールEE軟膏やリンデロンA軟膏で副作用がなかったか
  • 使用期間の見込みと、手に入らないことで何日分の治療が欠けるか

耳に使う場合

  • 鼓膜の穿孔がないか(ネオメドロールEE軟膏もリンデロンA軟膏も、鼓膜穿孔がある患者さんへの耳内使用は禁忌です)
  • 耳だれ(耳漏)、耳の痛み、聞こえにくさ、鼓膜チューブ、手術歴の有無

眼に使う場合

  • 角膜の病変がないか
  • コンタクトレンズを使っているか

処方箋に「両耳」「右眼」などと書かれていないと、使う部位がわからないこともあります。
患者さんへの聞き取りと、処方医への確認をセットで行うのが安心です。


患者さんへの説明のポイント

薬が変わると、「前と違う薬で大丈夫?」と不安になる患者さんもいます。

リンデロンA軟膏に変わる場合

  • 抗菌薬の成分は同じフラジオマイシンで、炎症と細菌感染を抑えるという目的も近い薬であること
  • ただし、ステロイドの成分や製剤は違うので、使う回数・期間・塗り方は新しい処方の指示に従うこと
  • 薬が変わったのは供給の事情によるものであること

目に使う場合
強い目の痛み、見えにくさ、充血の悪化、まぶしさ、目やにが増えるなどがあれば、自己判断で使い続けず、眼科に連絡するよう伝えます。
ステロイドを含むため、感染の悪化や眼圧の上昇を見逃さないことが大切です。

耳に使う場合
耳だれが増えた、耳が痛い、聞こえにくい、めまいがする、などがあれば、早めに耳鼻科に連絡するよう伝えます。
薬が変わったことによる反応だけでなく、感染の悪化や耳の状態の変化の可能性もあるので、患者さんが自己判断で「薬のせい」と決めつけないようにしたいところです。

「供給の都合で変わりました」とひとこと添えるだけで、患者さんの受け止め方はずいぶん違うと思います🌿


まとめ

  • ネオメドロールEE軟膏は、原薬の製造遅延で2026年4月から限定出荷。通常出荷の再開は2027年中頃の予定
  • 9月に出荷量の区分は「通常」になったが、限定出荷は継続。新規採用は辞退で、既存の採用施設が優先
  • もっとも近い候補は眼・耳科用リンデロンA軟膏(抗菌薬は同じフラジオマイシン、ステロイドが異なる)
  • ステロイドの強さで単純に置き換えることはできない。切り替えや使用期間は処方医が判断
  • 抗菌眼軟膏、皮膚用の配合軟膏、液剤なども候補になりうるが、どれも単純な置き換えではない
  • 疑義照会では、まずどこに使う処方かを確認し、鼓膜穿孔・角膜の状態・アレルギー歴・使用期間などをそろえる

供給状況は日々変わります。実際に対応するときは、最新の情報と電子添文を必ず確認してください。
少しでも参考になれば嬉しいです😊


参考

  • 厚生労働省「医療用医薬品の供給状況」(2026年9月25日公表分)
  • ファイザー「ネオメドロールEE軟膏 限定出荷のお詫びとお願い」(2026年4月)
  • ファイザー「ネオメドロールEE軟膏 限定出荷継続のご案内」(2026年9月)
  • ネオメドロールEE軟膏 電子添文
  • 眼・耳科用リンデロンA軟膏 電子添文

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この記事を書いた人
yakuzaishi-real

病院薬剤師として10年以上勤務したのち、30代で薬局薬剤師へ転職しました。抗がん剤の調製やチーム医療、病棟での服薬指導など、病院での経験を土台に、転職体験や薬局の日常を本音でお伝えしています。同じように悩む薬剤師の方の参考になれば嬉しいです😊

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