ノルスパンテープが供給停止……10月末の再開までどうつなぐ?薬局で処方医と相談したいポイント

はじめに

「ノルスパンテープが、全規格とも供給停止……?」

慢性疼痛に使われるノルスパンテープ。
2026年9月に限定出荷となり、9月24日からは5mg・10mg・20mgの全規格が供給停止になりました。

ノルスパンテープは、適正使用のための流通管理が設定されている薬です。
在庫が足りないときにほかの薬局と調整したり、患者さんを紹介したりする場合も、確認することが多く、一般の薬より時間がかかる可能性があります。

整形外科やペインクリニックの処方が来たときに慌てないよう、

  • 何が起きていて、いつまで続く予定なのか
  • 処方医と相談するときに、薬局からそろえておきたい情報
  • 患者さんへの説明で気をつけたいこと

をまとめました。


ノルスパンテープってどんな薬?

項目内容
一般名ブプレノルフィン
規格5mg・10mg・20mg(テープ)
製造販売ムンディファーマ
後発品なし(同成分の貼付剤で代わりになる銘柄はない)
規制区分劇薬、第二種向精神薬、習慣性医薬品、処方箋医薬品
用法7日ごとに貼り替え(前胸部・上背部・上腕外部・側胸部)
用量初回は5mg。その後は痛みの程度や副作用などをふまえて、貼り替えのときに処方医が調整する。最大20mg

効能・効果
非オピオイド鎮痛剤で治療困難な、変形性関節症・腰痛症に伴う慢性疼痛における鎮痛
(保存的治療では十分な効果が得られず、日常生活動作に障害がある患者さんに限られます)

禁忌

  • 本剤の成分に対する過敏症の既往歴がある
  • 重篤な呼吸抑制状態、重篤な呼吸機能障害がある

⚠ テープを切って使うことはできません。 電子添文でも、ハサミなどで切って使用しないこととされています。在庫が足りないときに「10mgを半分にして5mgの代わりに」といった対応はできないので、規格や枚数の変更は、必ず処方医の指示に基づいて行います。

流通管理のある薬

ノルスパンテープには、次のようなしくみがあります。

  • 処方できるのは、適正使用のためのe-learningを受講し、登録された医師
  • 調剤は、流通管理に必要な登録・確認の体制がある薬局で行い、調剤の前に、処方医が受講済みであることを確認する

さらに第二種向精神薬でもあるため、薬局どうしで在庫を調整するときには、向精神薬としての取扱いの記録なども必要になります。
そのため、ほかの薬局との在庫の調整や患者さんの紹介は、一般の薬より調整に時間がかかる可能性があると考えておきたいところです。


何が起きているのか

ムンディファーマの案内(2026年9月)によると、スケジュールは次のとおりです。

期間(受注日ベース)出荷の状況
2026年9月4日〜9月18日限定出荷(出荷量減少)
2026年9月24日〜10月30日(予定)供給停止(出荷停止)

厚労省の供給状況データ(2026年9月25日公表分)でも、全規格が「供給停止」、解消見込みは「あり(2026年10月30日)」とされています。

原因として、ムンディファーマは次のように説明しています。

  • グローバルでの供給調整により、日本向けの割当数量が当初の計画を下回った
  • その結果、輸入量が減り、国内の在庫が安全な水準を保てなくなった
  • さらに輸入関連の手続きの遅れが重なり、在庫を積み上げられなかった

そして、医療関係者へのお願いとして、添付文書・関連ガイドライン・適正使用ガイドなどを参照し、治療を続けるか、他剤へ切り替えるかは、主治医の判断のもとで対応してほしい、とされています。

💡 10月30日は「薬局が普通に買える日」ではありません
10月30日は、メーカーが示した供給停止の解除予定日で、しかも受注日ベースです。薬局が卸から通常どおり購入できる日を保証するものではありません。
供給が再開したあとも、流通在庫の回復や卸への配分には時間がかかる可能性があります。再開を待つ前提ではなく、患者さんごとの残り枚数と貼り替え予定日を早めに確認しておくことが大切です。


薬局でまず確認したいこと

ノルスパンテープは7日ごとに貼り替える薬です。
そのため、「いつ手元の在庫が尽きるか」を枚数と貼り替え日で具体的に見ておくことが大切です。

1. 自分の薬局の在庫と、患者さんごとの必要枚数

  • 今ある在庫は何枚か、規格ごとに確認する
  • ノルスパンテープを使っている患者さんごとに、次の処方までに何枚必要かを整理する
  • 供給が戻るまでに、どの患者さんの分が足りなくなりそうかを見ておく

2. 患者さんの手元の残り枚数と、次の貼り替え日

  • 手元にあと何枚あるか
  • 次に貼り替える日はいつか
  • 次の受診日はいつか

「残り1枚で、次の貼り替えが3日後」なのか、「残り3枚で、次の受診は1か月後」なのかで、処方医に相談すべきタイミングがまったく変わります。

⚠ 在庫がある薬局も、必要な分だけの発注にとどめることが大切です。多めに確保しようとする動きが広がると、本当に必要な患者さんに届きにくくなります。


処方医と相談するときにそろえたい情報

在庫が足りなくなりそうなときは、処方医に早めに相談します。
そのとき、「在庫がありません」だけで終わらせず、判断材料をそろえて伝えることを意識したいところです。

供給と使用の状況

  • 現在の規格・用量(5mg・10mg・20mg、組み合わせているか)
  • 最後に貼った日と、次の貼り替え予定日
  • 手元の残り枚数と、薬局で用意できる枚数

併用薬

  • 併用している鎮痛薬(NSAIDs、アセトアミノフェン、トラマドール製剤など)
  • 過去のオピオイドの使用歴
  • 眠気や呼吸抑制に関わる薬:ベンゾジアゼピン系、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、ガバペンチノイド(プレガバリン・ミロガバリンなど)、飲酒の習慣

患者さんの状態

  • 高齢、フレイル、認知機能の低下
  • 呼吸器の病気、睡眠時無呼吸症候群
  • 肝機能・腎機能
  • 便秘・吐き気・眠気・ふらつき、転倒歴
  • 貼付部位の皮膚の状態、かぶれの経験
  • 最近の痛みの程度や、日常生活への影響

切り替えるかどうかは、処方医の判断

在庫が確保できない場合、処方医が治療を続ける方法や他剤への切り替えを検討することになります。
どの薬にするか、どのタイミングで・どの量で始めるかは、痛みの状態や全身状態によって変わるので、薬局だけで決めることはできません。

ただ、薬局として知っておきたい電子添文のポイントがあります。

急な減量・中止について
連用中に急に減らしたり中止したりすると、退薬症候があらわれることがあるので、原則として避けることとされています。
ただし、供給停止で処方を続けられない場合は、予定どおりに少しずつ減らせないこともあります。そのときは、漸減、他剤への切り替え、短期的な痛みの管理なども含めて、処方医が緊急性をふまえて個別に判断することになります。

ほかのオピオイドに切り替える場合

  • ノルスパンテープを中止してほかのオピオイド鎮痛剤に変更する場合は、剥がしてから24時間以上あけることとされています
  • さらに、ブプレノルフィンはμオピオイド受容体への親和性がほかのオピオイドより強いため、24時間以上あけても、切り替えた直後は新しいオピオイドの鎮痛効果が十分に得られないことがあるとされています

つまり、「24時間あければ、そのまま置き換えられる」わけではありません。
切り替える薬、開始量、観察のしかたは、痛みの程度、年齢、呼吸機能、併用している中枢抑制薬などをふまえて、処方医が患者さんごとに慎重に決めることになります。
薬局としては、切り替え後しばらくは痛みの変化や眠気・ふらつきに気を配り、気になることがあれば処方医に伝えたいところです。


ほかの薬局を紹介するとき

自分の薬局でどうしても用意できないときは、ほかの薬局への紹介も考えます。
ノルスパンテープの場合は、紹介先に在庫があるかだけでなく、次の点も確認しておくと安心です。

  • ノルスパンテープの流通管理に必要な登録が済んでいるか
  • 処方医のe-learning受講状況を確認したうえで調剤できる体制か
  • 必要な規格を調剤できるか
  • 患者さんの貼り替え予定日に間に合うか

患者さんを案内したあとで「ここでは調剤できない」とわかる事態を避けるため、可能であれば紹介先の薬局に事前に連絡してから案内します。
流通管理の手続きについて不明な点は、メーカーの流通管理窓口に相談できます。

💡 在庫がないときの「調剤応需義務」の考え方
2026年7月の厚労省通知「薬剤師の調剤応需義務等について」では、備蓄がないことだけを理由に調剤を断ることは認められないとされました。
これは、「在庫がなければ、必ず自分の薬局でその日のうちに用意しなければならない」という意味ではありません。卸からの調達、処方医への確認、近くの薬局への紹介など、患者さんが必要な薬を受け取れるよう、状況に応じて動くことが求められている、ということです。
供給停止中でその日に調剤できない場合は、患者さんの貼り替え予定日と残り枚数をふまえて、処方医や紹介先の薬局と早めに連携しましょう。
通知の詳しい解説はこちら → 薬局のカスハラ、断っていいの?「調剤応需義務」の新通知を現場の薬剤師が読んでみた


患者さんへの説明で気をつけたいこと

慢性疼痛の患者さんにとって、痛み止めが手に入らないかもしれないというのは、とても大きな不安です。
説明のときに意識したいのは、次の4つです。

1. 自己判断で貼る期間をのばさない・途中でやめない

在庫を長持ちさせようとして、7日より長く同じテープを貼り続けたり、次のテープを貼らずにやめたりしないよう伝えます。
痛みが強くなるだけでなく、長く使っている場合は、不安、不眠、吐き気、汗、ふるえなどの退薬症候が出ることがあります。

2. 残りが少なくなったら、早めに連絡する

残り枚数が少なくなった時点で、主治医か薬局に連絡するよう案内します。
「最後の1枚を貼ってから」では、相談の時間が足りなくなることがあります。

3. 薬が変わった場合は、新しい指示どおりに

ほかの薬に変わった場合は、使い方・タイミング・注意点が変わることがあります。
新しい薬の使い方は、新しい処方の指示に従ってもらいます。

4. 貼っている部分を温めない・体温の上昇に注意

これはふだんからの注意点ですが、あらためて伝えておきたいところです。

  • 貼っている部分を電気毛布、電気パッド、湯たんぽ、カイロ、サウナ、集中的な日光などで温めると、薬の吸収が増えて、作用が強く出るおそれがあります
  • 発熱や激しい運動で体温が上がったときも、同じように吸収が増えるおそれがあります
  • 高い熱が出たとき、強い眠気、ふらつき、息苦しさなどがあるときは、自己判断で貼り続けず、早めに医療機関に連絡するよう伝えます

「供給の事情で、薬が変わったり、受け取りのタイミングが変わったりするかもしれません。でも、先生と相談しながら対応するので、残りが少なくなったら早めに教えてくださいね」
こんなふうにひとこと添えるだけで、患者さんの不安はずいぶん違うと思います🌿


まとめ

  • ノルスパンテープは、2026年9月24日から全規格(5mg・10mg・20mg)が供給停止。解除は10月30日の予定(受注日ベース)
  • 10月30日は薬局が普通に買える日を保証するものではない。再開を待つ前提ではなく、早めに残り枚数を確認する
  • 原因は、グローバルでの供給調整による日本向け割当の減少と、輸入手続きの遅れ
  • 流通管理のある第二種向精神薬なので、ほかの薬局との調整や紹介は一般の薬より時間がかかる可能性がある。紹介するときは在庫と登録・確認体制を事前に確認
  • 薬局では、在庫の枚数・患者さんの残り枚数・次の貼り替え日を具体的に確認する。テープは切って使えない
  • 処方医には、用量・最後に貼った日・併用薬・患者さんの状態をそろえて早めに相談。切り替えるかどうかは処方医の判断
  • 他のオピオイドへの変更は剥がしてから24時間以上あけるが、切り替え直後は効果が十分でないこともある
  • 患者さんには、自己判断で期間をのばさない・やめない、残りが少なくなったら早めに連絡、貼っている部分を温めないを伝える

供給状況は日々変わります。実際に対応するときは、最新の情報と電子添文を必ず確認してください。
少しでも参考になれば嬉しいです😊


参考

  • 厚生労働省「医療用医薬品の供給状況」(2026年9月25日公表分)
  • ムンディファーマ「ノルスパンテープ5mg/10mg/20mg 限定出荷及び供給停止に関するお詫びとお願い」(2026年9月)
  • ノルスパンテープ5mg・10mg・20mg 電子添文
  • ノルスパンテープ 患者さん向け資料
  • 厚生労働省 医薬発0708第1号「薬剤師の調剤応需義務等について」(2026年7月8日)

※他の供給状況の記事

この記事を書いた人
yakuzaishi-real

病院薬剤師として10年以上勤務したのち、30代で薬局薬剤師へ転職しました。抗がん剤の調製やチーム医療、病棟での服薬指導など、病院での経験を土台に、転職体験や薬局の日常を本音でお伝えしています。同じように悩む薬剤師の方の参考になれば嬉しいです😊

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